オフィスリノベーションの進め方|移転せず働きやすさを見直す

オフィスリノベーションでは、今ある空間のどこを残し、どこを変えるかを決めます。床や壁を新しくするだけでなく、席、会議室、設備、来客の流れを見直すことで、現在の働き方に合う場所へ整えることを目指します。
ただし、改装が常に移転より有利とは限りません。建物の条件、必要な面積、工事中の仕事への影響を含めて比較する必要があります。本記事では、現状調査から完成後の確認までの進め方を紹介します。
改装で解決する課題と既存の状態を調べる
改装で解決したい課題を分ける
課題には、見た目の古さ、設備の不便、部屋の不足、仕事の進め方との不一致などがあります。壁紙を変えることで整えられる印象と、会議室の位置を変えなければ解決しない問題を分けましょう。原因が違えば必要な工事も違います。
社員への聞き取りでは、「古い」「狭い」といった感想を具体化します。どこで人がぶつかるか、何を置く場所がないか、どの時間に会議室が足りないかを尋ねます。写真と図面へ書き込むと、設計担当へ伝えやすくなります。
今の空間の良い点も残します。便利な収納、使いやすい会議室、自然光が入る席などを把握すると、全面的に変える必要があるかを判断できます。課題だけを見て、利用者が気に入っていた部分まで失わないようにしましょう。
現地調査で残せるものを確認する
既存の床、壁、照明、空調、配線、家具の状態を確認します。見た目がきれいでも、使用状況や今後の配置に合わなければ更新が必要になる場合があります。逆に、機能上問題がなく、新しい計画でも使えるものは残す候補になります。
既存図面があっても、現況と一致しているかを確認します。過去の変更が反映されていない場合や、見えない場所の状態が不明な場合があります。不確定な部分は見積もりと工程に明示し、現場で確認した後の判断方法を決めておきます。
賃貸オフィスでは、変更できる範囲と必要な手続き、退去時の扱いも重要です。管理会社や契約資料を確認し、設計担当と共有してください。見た目だけで工事範囲を決めると、後から計画の見直しが必要になることがあります。
移転との比較は総費用と仕事への影響で行う
今の場所を改装する場合、住所や通勤経路を維持できる一方、工事中の作業場所を確保する必要があります。移転する場合は、新しい空間を整えやすい反面、引越しや旧拠点の対応などが加わります。どちらも内装費だけで比較しないことが大切です。
比較する項目は、面積、使える設備、賃料、工事費、移動、業務への影響、今後の増員対応などです。改装しても席や設備が足りないなら、短期間で再び問題が起こる可能性があります。現在の困りごとと将来の条件を並べて判断しましょう。
社内の手間も確認します。荷物の整理、仮の座席、会議場所の手配などは担当者の作業になります。費用として見えにくい部分ですが、通常業務と両立できる体制かを考えることが必要です。
工事範囲と業務の続け方を計画する
一度に変える部分と段階的に変える部分
全面改装では計画をまとめやすい一方、まとまった予算と作業場所が必要になります。段階的に変える方法は、優先する課題から着手できますが、工事のたびに移動や養生が発生する可能性があります。最終的な総額と手間を比較してください。
段階的に進める場合も、最初に全体の完成形を考えます。先に設けた壁が後の配置を妨げたり、配線を何度も変更したりすると無駄が生じます。将来工事する範囲と設備の関係を確認し、先行する作業が後の選択肢を狭めないようにします。
優先順位は、仕事への影響と実施のしやすさで考えます。毎日発生する通信や収納の不便と、来客時だけ気になる装飾を同じ重さで扱わず、利用頻度を踏まえます。会社の目的によって優先する場所が変わることも共有しましょう。
STREAM.の建物更新事例を参考にする
東京都港区の「ISOL MITA」は、STREAM.の建物リニューアルの事例です。壁面に沿う光を取り入れた通路や、テーブル・椅子を配置した室内など、場所ごとに異なる過ごし方を感じられる空間が見られます。改装では、入口から室内までの印象を一緒に考えることも大切です。事例を見る

既存オフィスを見直す際も、壁や床だけを個別に選ぶのではなく、光と家具を含めて空間全体を検討しましょう。現在の良さを残しながら変えたい印象を整理すると、工事の優先順位をつけやすくなります。まずは入口、通路、執務スペースを順にたどり、改善したい場所を書き出してみてください。

工事中と完成後の運用を計画する
工事中は、音、粉じん、におい、人の出入り、設備停止などが仕事へ影響する可能性があります。施工区画と業務区画を分け、どの時間にどの作業があるかを社内へ案内します。工事をしながら使えるかは、内容と建物条件を踏まえて判断します。
電話やオンライン会議など止めにくい仕事には、別の場所を用意する必要があるかもしれません。工事の影響を「少しうるさい程度」と考えず、実際の作業内容を確認しましょう。特に大切な商談や来客の予定は、工程調整の際に共有します。
完成後は、新しい配置で困りごとが減ったかを確認します。収納が使われているか、会議室の不足が改善したか、来客案内が分かりやすくなったかなど、計画時の課題に戻って評価します。家具の位置や運用ルールで調整できる部分もあります。
残すものと変えるものを具体化する
改装計画の確認表
| 段階 | 整理すること |
|---|---|
| 現状 | 困りごとと残したい良い点 |
| 調査 | 設備・家具の状態、図面との差 |
| 比較 | 改装と移転の総費用・業務への影響 |
| 設計 | 優先する工事と将来の変更 |
| 施工 | 仮の作業場所、連絡、停止時間 |
| 利用開始 | 課題が改善したか、調整が必要か |
再利用する家具と必要な作業を整理する
改装計画では、設備や家具を「残す」「補修して使う」「入れ替える」「状態を確認して判断する」の四つに分けると整理しやすくなります。担当者の印象だけで決めず、使う人の不満、現地の状態、新しい配置との相性を確認します。未確認の物は仮の条件として扱ってください。
たとえば、机の見た目は古くても寸法と機能が合えば残す候補になります。一方、外観がきれいな収納でも、扉の開く向きが新しい動線を妨げるなら移動や変更を考える必要があります。新旧の区別だけでなく、完成後にどう使うかを基準にします。
再利用する物には、移動、保管、養生、再設置の作業が発生する場合があります。購入費がかからないことと、費用が全くかからないことは違います。傷や不具合が見つかった場合の扱いも含めて、見積もりへ反映する範囲を確認しましょう。
設備の確認結果と最終一覧を共有する
設備を残す場合は、必要な容量や動作、管理の状況を確認します。改装後に使用する機器が増えるなら、今まで使えていたという理由だけでは判断できません。現状の情報と今後の使い方を設計担当へ伝え、調査が必要な項目を明確にします。
最終的な一覧は、図面と見積もりに対応する番号を付けると確認しやすくなります。社内で「この棚は残すつもりだった」という認識違いを防ぐため、写真も添えて承認を取ります。工事の前に扱いを決めておくことが、撤去後には戻せない変更を減らす助けになります。
よくある質問
古いオフィスでもおしゃれにできますか?
仕上げや配置、照明で検討できることはあります。ただし設備や建物の制約もあるため、現地調査で実現できる範囲を確認する必要があります。
家具を残して改装できますか?
状態と新しい配置に合えば候補になります。工事中の保管や移動、養生も含めて計画してください。
部分改装から始めてもよいですか?
優先課題が明確なら検討できます。後の工事との重複を減らすため、全体の方向と設備の関係は先に確認しましょう。
STREAM.へのお問い合わせには、現状写真、図面、変えたい点と残したい点を添えると、改装の範囲を整理しやすくなります。